1785年8月15日は、ロアン枢機卿が、ヴェルサイユ宮殿鏡の間で逮捕された日です。
「王妃の首飾り事件」は、フランス史上最大級の詐欺事件と言える。
この裁判の結果、ロアン枢機卿は無罪。
主犯のラ・モット夫人は、即日執行の「はしばみ」の枝による鞭打ち刑と「voleuse(女泥棒)」の頭文字「V」の文字を焼きごてを肩に押し付けられるはずだったが、暴れて胸に押し当てられた。
この事件によって、国王と王妃の名誉が傷つけられた、つまり、王族が裁判で負けたのである。
この事件に、マリーアントワネットは全くの無関係であった。
しかし、ジャン=クリスティアン・プティフィス「ルイ十六世」によれば、
事件の張本人であるラ・モット夫人と王妃は、つながりがあったと主張する研究家もいた。
しかし、その可能性は、この本の中で、はっきりと否定された。
ロアン枢機卿は、マリーアントワネットがフランスへ「輿入れ」するときに、ストラスブールで、
歓迎の言葉を述べている。
実は、ロアン枢機卿はマリアテレジアとマリーアンドネットから嫌われていた。
話は、枢機卿のオーストリア特別大使時代にさかのぼる。
そのとき、枢機卿は、色好みで、節度のない華美と暮らしぶりが、質素堅実の家風であるマリアテレジアから嫌われていた。
その上、マリーアントワネットの悪口まで言っていた。
しかし、フランスに戻った枢機卿は首相の座を望んでいて、王妃に取り入れれば、チャンスがあると思っていた。
実は、枢機卿は王妃から8年間無視されていた。
それなのに、宝石をプレゼントすれば、自分が首相になれると考える傲慢な人物だった。
確かに、王妃は、誰もが知るような宝石好きだった。
ところが、王妃の興味は、プチ・トリアノンに「村里(アモー)」を建設することに移っていた。
そもそも「首飾り」は、 ルイ十五世時代に、デュ・バリー夫人をターゲットに製作された。
しかし、ルイ十五世が死去したことで 購入できるターゲットは、マリーアントワネットに変わった。
マリーアントワネットは、この「首飾り」を購入することを3回拒否している。
1回目は、王妃に直接売り込んで、高すぎる値段を理由に断った。
2回目は、第一子マダムロワイヤル誕生の記念に購入する提案を国王にした。
王妃は、「フランスは首飾りより軍艦を必要としています! 」というセリフで、拒否した。
3回目は、王太子誕生の数ヶ月後に、同じ提案をルイ16世に持ちかけた。
国王は、購入の準備をしていたが、戦況の悪化で、話は流れた。
ちなみに、首飾りの値段は、最初180万リーブルだったが、 160万リーブルに値下げした。
マリーアントワネットには、160万リーブルが提示された。
ロアン枢機卿は、160万リーブルの肩代わりに同意した。
ラモットは、ロンドンで、首飾りをバラバラに解体して、1 5 万リーブルで売り払った。
詐欺事件の仕掛人ラ・モット夫人、カモにされたロアン枢機卿、利用されたマリーアントワネット、国王ルイ16世には、それぞれの因縁があった。
ロアン枢機卿は、名門貴族の生まれ。
ラモット夫人は、ヴァロワ朝の末裔で、困窮の身の上。
ラモット夫人とロアン枢機卿は、愛人関係。
ロアン枢機卿はデュ・バリー夫人派であり、ご承知のとおり、デュ・バリー夫人と王妃は対立していた。
そして、貴族は国王に自分たちの権利を認めさせようとしていた。
王妃が裁判を起こして、公にすることで、枢機卿を罰することを望んでいたが、
国王は、事件をを公にすることなく、秘密のうちに国王の権限で枢機卿を辞任させればよかった。
そうすれば、自分たちの権威を守ることができた。
つまり、国王夫妻には、事件の本質を理解できていなかった。
夫妻は自分たちが裁判に負けることはないと、考えていたが、枢機卿には、無罪判決が出た。
高等法院は、国王との権力争いをしており、同時に、枢機卿に味方していたので、
王権は、傷つけられる結果になっtた。
参考文献:安達正勝著「マリー-アントワネット」2014年中公新書2286
ジャン=クリスティアン・プティフィス著「ルイ16世」中央公論新社2008年
小倉孝誠/監修 玉田敦子/橋本陽一/坂口哲啓/真部清孝/訳
ヴェルサイユ宮殿へのアクセス
パリ、シャルル・ド・ゴール空港からクルマで、1時間10分程度、48、9キロ
電車を利用すると、1時間30~40分ぐらいです。
空港を出発する時間とベルサイユ宮殿が、開館している時間をご確認ください。
ヴェルサイユ宮殿
- 4月~10月:9:00~18:30。
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これらの宮殿の開館時間は以下の通りです:
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- 11月から3月の開館時間:12:00から17:30まで;
- 閉館時間:閉館の30分前まで;
- 閉館日:月曜日(休息日)、12月25日、1月1日