「古い本」をあなどらないこと-追記:2024/01/19

講談社現代新書540「翻訳読本」著:別宮貞徳を読んでます。

ここで書きたいのは、「古い本」をあなどらないこと。 これは、自分への戒めです。

どういうことかというと、「出版年or新しい本は、古い本に勝る」という、これまでの自分の 考えを改める、ということです。

むかしから、新しいこと、新しい考えは、過去の問題をアップデートしているから、新しいも­ のが「良い」と思ってました。

どうやら、そうではないようです。

そのことを「翻訳読本」から、学びました。


この本は、1 979年のものです。

いまさら感が強いですが、結局「いくつになっても、学びがある」ということです。

この本にたどり着くのに、 2つの本をはさんでいます。

ご承知のとおり、 いまフランス語を独学しています。

「読む」ためには、まず、「文法」です。

フランス語原書を読みはじめたころから、フランス語文法書を買いはじめました。

中性代名詞を始めとした代名詞を「あれ、これ、それ、彼、彼女」としたのでは、文の 意味がわかりません。

本題に戻ります。

「翻訳仏文法」鷲見洋一著 が、ちくま学芸文庫から、2022年に再刊されました。

この本は文法の解説をしながら、「翻訳」という作業がどんなものかをわたしに教えてくれま­した。

この本は、「英文翻訳術」安西徹男著、があったから、生まれました。

「翻訳英文法」のオリジナルは、1982年で、

「翻訳仏文法」のオリジナルは、1985年です。

この本で、自分が学んだ「翻訳」とは、わかりやすい日本語に移し変えることです 。

決して、辞典に書いてあるとおりの「熟語」に置き換えたり、構文を利用した定型文に置き換­えることではない、ということです。

原文を咀嚼した上で、構文や辞書を踏まえたわかりやすい日本語を生み出すのが、翻訳です。

この「英文翻訳術」が、引き合いに出していたのが、「翻訳読本-初心者のための八章」でした。

アマゾンのレヴューを参考にして、良さそうなので、手に入れました。

この「翻訳読本」は、誤訳、悪訳があふれている現状を嘆いています。

英文を解釈するのに、英文法は必要ですが、英文法の考え方と英和辞典を重視したせいで、お­かしな日本語になっていくのが困りものだと。

「翻訳」は、漢文の読み下し文を英語にも応用している、と書いてあるのには、とても腑に落ちました。

中学英語で、日本語として英文の構造を学んだときに、次のような疑問が生まれました。

「ネイティブは、母国語を日本の英文法のあんなやり方で、理解しているのか?」

ネイティブは、主語、動詞のあとに出てくる、節、句、挿入、目的語、形容詞を行ったり、来たりしない、だろう。

英文は左から右へ読む、その原則を守れば良い、と思います。

とにかく文頭から、訳しています、そういうのを「巡行訳」というそうです。

「翻訳読本」では、美しい日本語にすること、そのために、谷崎潤一郎や丸谷才一の「文章読本」を引き合いに出しています。

翻訳で、一番大切なのは、日本語の美しさ、日本語の常識、日本語の想像力を培うことです。

この本が主張することは、40年以上たった現在でも変わりがありません。

「古典」は、いくつもの時代の波を越えていますが、「古い本」は、中途半端な位置づけにあります。

「いつになっても、人が変わらない」ので、「良い本」には、「古い」も「新しい」も無い、のです。

これからも情報を集めて、本を選ぶ力を養って行きます。

2024/01/19追記:

「仏訳仏文法」の著者によると、”「翻訳英文法」の90%が使える”、と書いてありました。どういうことかというと、英文仏文に関係なく、翻訳のテクニックとして共通することがあるのです。もちろん英文法と仏文法は違いますが、日本語に移し替えるときは、考え方、テクニックは同じようです。


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